第416章 浅野社長はこんなに落ちぶれたの?

小山千恵子は車を運転して藤原晴子のスタジオに到着し、ドアを開けるとびっくりした。

部屋中にはオートクチュールのドレスやアクセサリー、一列に並んだスタイリストやプロのチームがいて、かなりの規模だった。

小山千恵子は笑いながら言った。「私はただのパーティーに出席するだけなのに、知らない人が見たら、オスカー女優がアカデミー賞を受け取りに行くみたいね。ちょっと大げさじゃない?」

彼女がこのパーティーに出席すると聞いて、藤原晴子は自ら千恵子のスタイリングを引き受けた。

これまでもいつも藤原晴子にお願いしていたので、小山千恵子は今回も特に気にしなかった。

藤原晴子は微笑みながら、小山千恵子の手から荷物を受け取り、彼女を椅子に座らせた。「安心して、大げさにはしないわ。まずはスキンケアスパから、超VIP女優さんサービスよ。」

小山千恵子は素直に頷き、藤原晴子と気ままに会話を続けた。

「それで、あなたと寺田通は結局申請が通らなかったの?」

藤原晴子は冷笑した。「そうよ、いつも資産評価が不適格だって言われるの。桜井美月が怖がってるんだと思うわ。」

小山千恵子は微笑んだ。「出席しないほうがいいわ。どうせ茶番劇だし、私たちは内外で協力して、あなたは静かに過ごせるし。」

藤原晴子は隅から精巧な金庫を取り出し、小山千恵子の隣に座った。

「ほら、あなたが欲しがってたルビーよ。今朝届いたばかりで、もう少しで間に合わないところだった。」

小山千恵子は目を開け、その宝石を受け取り、優しい眼差しを向けた。

藤原晴子は彼女をちらりと見た。「浅野武樹のため?」

小山千恵子はびっくりして、軽く咳をして気まずさをごまかした。「うん。」

彼にオーダーメイドのスーツを作る時間がなかったので、悩んだ末にせめてネックレスを作ることにした。

しかし小山千恵子の完璧主義が顔を出し、手持ちのルビーはどれも満足できなかった。

それで藤原晴子に頼んでこの石を探してもらったのだ。間に合ってよかった。

藤原晴子はため息をつき、珍しく浅野武樹の名前が出たときに「あの野郎」と罵らなかった。

「因縁の相手ほど長続きするって言うけど、前は信じなかったわ。でも今、あなたたち二人を見ると、本当にそうだと思うわ。」