第422章 私の妻のために

桜井美月は浅野武樹と小山千恵子の表情が一瞬厳しくなるのを見て、心の中で得意げな気持ちを抑えきれなかった。

彼女はこの件がみんなに長い間忘れられていたことを知っていた。

しかし今この時に再び持ち出せば、二人の関係に確実に障害を作り出すことができる!

小山千恵子はすぐに感情を隠し、視線はそのピンクダイヤモンドの指輪に落ちた。

かつて、あるいはもう随分昔のことだが、彼女はこのサザンスターピンクダイヤモンドをとても欲しがっていた。

浅野武樹はその頃すでに日に日に冷淡になり、気まぐれに彼女になぜ欲しいのかと尋ねたことがあった。

小山千恵子は自分がその指輪のデザインがとても気に入っていると答えたことを覚えている。

しかし本当の理由は、実はとてもシンプルだった。

彼女はこのダイヤモンドを自分の結婚指輪にしたかったのだ。