今日はバーが特に混んでいて、望月あかりは箱ごとお酒を運び、バックヤードの倉庫とバーカウンターの間を行き来し、一晩中休むことなく働いていた。
バーの中央では、ステージ上の歌手が激しい曲を歌い、次のダンサーが場を盛り上げていた。
彼女たちは若い女性たちで、中には音楽学院の専攻生もいた。
若くて美しくて活力がある、これらの特徴は望月あかりにはなかった。
山田進は二階で、ガラスの手すりに寄りかかり、下階の人の波を見つめていた。
「進兄さん、どう?気に入った子はいる?兄貴のために呼んで話でもさせようか?」木村平助は山田進が下を見つめ続けているのを見て、小声で冗談を言った。今日は彼が集まりを企画し、以前は目もくれずに黙々と酒を飲んでいた山田坊ちゃまが、今日は意外にも外を見つめていた。
木村平助は山田進が前の彼女と別れたと思い、若葉加奈子と寮の女友達も招待したが、山田進は彼女たちを全く相手にしなかった。
山田進は二階から、「スタッフ」たちが若さを売りにしているのを冷ややかに見つめていた。
この店は料金が安くなく、若くて美しい女の子たちは開放的であれば、一回で一万円以上の収入を得ることができ、一晩で何回も回れば、十万円の収入も簡単だった。もちろん、容姿が良く気が利くことが条件だった。
彼はただ、望月あかりが今どこにいるのか知りたかった。あの馬鹿な女の子は、死ぬほど疲れても、このような手っ取り早い金は稼ごうとしないだろう。
しかし、彼女が弟のために返済した二十万円がどこから来たのか、考えるのも怖かった。彼女は横浜市にいて、この数日間学校に戻っていない、外で暮らしている。
もしかしたら、彼女に優しくしてくれる別の人が現れて、この借金を返済してくれたのかもしれない。
彼女は恩を忘れない性格だから、これからはその人にだけ尽くすだろう。
山田進は考えたくなかった。望月あかりが間違った道を選んで苦労することを恐れ、さらに他人の助けを得ることを恐れていた。
二階の酒席は次第に賑やかになったが、山田進は最初から最後まで若葉加奈子を一度も見なかった。そのため、彼女と一緒に来た寮の女友達たちは気まずい思いをした。
勇気を振り絞って、若葉加奈子は積極的に山田進に話しかけた。