今日はバーが特に混んでいて、望月あかりは箱ごとお酒を運び、バックヤードの倉庫とバーカウンターの間を行き来し、一晩中休むことなく働いていた。
バーの中央では、ステージ上の歌手が激しい曲を歌い、次のダンサーが場を盛り上げていた。
彼女たちは若い女性たちで、中には音楽学院の専攻生もいた。
若くて美しくて活力がある、これらの特徴は望月あかりにはなかった。
山田進は二階で、ガラスの手すりに寄りかかり、下階の人の波を見つめていた。
「進兄さん、どう?気に入った子はいる?兄貴のために呼んで話でもさせようか?」木村平助は山田進が下を見つめ続けているのを見て、小声で冗談を言った。今日は彼が集まりを企画し、以前は目もくれずに黙々と酒を飲んでいた山田坊ちゃまが、今日は意外にも外を見つめていた。