望月あかりは警察署で事の顛末を知った。彼女をつけていた人物は望月紀夫の叔父だった。
原因は、やはりあの家だった。
両親が亡くなった後、望月紀夫は一人で住んでいた。
望月紀夫の叔父はここ数年ビジネスで外を飛び回っており、家計も悪くなかった。以前、望月紀夫の母に緊急用として二百万円を貸していたが、望月紀夫の母が事故に遭った後、叔父は望月紀夫を気の毒に思い、二百万円の借金の件は棚上げにして、望月紀夫が就職してからゆっくり返せばいいと言った。
この三年間、望月あかりが帰省しない間、望月紀夫の叔父は頻繁に彼の面倒を見に来ていて、次第にこの家が望月紀夫の名義になっていることを知った。
去年の後半、叔父の次男が学校に入学することになり、叔母に唆されて、望月紀夫に家を叔父の名義に移すよう要求した。望月紀夫の母が借りた二百万円は帳消しにするので、そうすれば叔父は学区内の住居を得られ、望月紀夫は借金を返さなくて済むというわけだ。
しかし望月紀夫は同意せず、叔父が説得を試みても効果がなく、望月紀夫が未成年で、家の名義変更には保護者の望月あかりの立ち会いが必要なことも分かっていた。
そこで叔父は待ち続けた。望月紀夫が十八歳になるのを待っていたが、望月紀夫はそれでも同意しなかったため、街の不良たちを雇って望月紀夫を脅かそうとした。
しかし、その連中は加減を知らず、望月紀夫を病院送りにしてしまった。
この数日間、叔父は恐れて病院に見舞いに行かず、家の周りで望月紀夫の帰りを待っていた。しかし望月あかりが帰ってくるのを見て、ずっと彼女をつけ回し、望月紀夫に家を売るよう説得してもらおうと考えていた。
今日、家の外で待っていたところ、望月あかりにストーカーと勘違いされ、ハンマーで殴られ、今は病院で縫合している。
望月紀夫の叔母と子供たちが駆けつけると、彼女に罵声を浴びせかけ、望月あかりは四面楚歌で反撃する余地もなかった。
病院の人が通報し、警察が来てようやく引き離された。
望月あかりは傷害で警察署に連行され、事情聴取に協力することになった。
その時、望月あかりは叔母に掴まれてボロボロの状態で、目尻は傷つき血を流し、髪の毛は望月紀夫の叔母と長女に大量に引き抜かれていた。