午前一時に警察署から出てきたが、診療所はどこも開いていなかった。
幸い表面的な傷は軽かったので、望月あかりは水を借りてティッシュで顔の血を拭き取り、望月紀夫を支えて家に帰った。
病院はここから遠すぎるので、一晩家で過ごして、明日また望月紀夫を病院に連れて行くことにした。
玄関に入った瞬間、望月あかりは心の中で言った:「お父さん、ただいま」
……
「姉さん?」望月紀夫は彼女が呆然としているのを見て、不安そうに言った。「僕、勝手に出てきたわけじゃないんだ。おばさんが姉さんを殴ったって聞いて、心配で」
望月あかりは首を振り、トイレに入って顔を洗い、髪の毛の傷口にアルコール消毒を施し、ついでにお湯を入れた洗面器を持ってきて望月紀夫の足湯を用意した。
彼の無事な方の足は泥だらけで、聞くまでもなく、松葉杖をついて一歩一歩警察署まで跳んできたのだろう。
「僕...僕自分でやるよ、お風呂も入りたいし」
望月紀夫は恐縮して、急いで望月あかりを断り、自分で何とかすると主張した。足の裏に水疱ができて潰れ、血が乾いて足の裏に張り付いているのを姉に見られたくなかった。
望月紀夫が見せたくないなら、望月あかりは無理強いせず、立ち上がって彼の部屋に行き、着替えを取りに行った。望月紀夫が足を洗ってスリッパを履いたら、望月あかりは彼を支えて洗面所の椅子に座らせ、シャワーを浴びさせた。
思春期の男の子は、男女の意識が芽生え始める時期で、望月紀夫はここにいることに違和感を覚え、落ち着かない様子で椅子から滑り落ちそうになり、望月あかりに叱られてようやく大人しく洗ってもらった。
少年はとても痩せていて、肋骨がはっきりと見えた。デリケートな部分は望月紀夫自身に洗わせた。
望月あかりは何も言わず、気まずい様子も見せず、着替えを手伝って寝かせた。
「姉さん、行かないで」
望月紀夫は彼女が出て行こうとするのを見て、急いで起き上がったが、不注意で傷に触れてしまい、ベッドに倒れ込んだ。