第28章 取り入る

山田進と望月あかりは二階に上がった。中は照明が暗めで、かろうじて人々の顔が見える程度だった。

望月あかりを含めて、中には女性が三人、残りは全て男性だった。

「おや、進兄さんがついに奥さんを連れてきてくれたんだね」入り口に入るなり、茶目っ気のある声が冗談めかして言った。

山田進は彼女の手を握り、奥へと案内しながら言った。「今の声は木村平助だ。俺より半年年下だから、兄さんと呼んでる。ちょっとふざけた性格だから、言うことは気にしないで」

「そうそう、奥さん。僕は軽い性格なもんで、もし失礼なことを言ったら、大人の対応で許してくださいね」木村平助は先に友好的な態度を示した。彼は今になって分かった。さっきまで進兄さんが下を見ていたのは誰を見ていたのかを。

あの時この子が上がってこなかったことだけでも、今「奥さん」と呼ばれるに相応しい存在だと。