昼頃、山田進は望月あかりに電話をかけ、一緒に食事に行こうと誘ったが、あかりは電話に出なかった。
山田進は外せなかったため、家政婦にアトリエまで昼食を届けてもらった。
望月あかりはアトリエにいなかった。山田進がまた来るだろうと予想し、林元紀に許可を得て学校に戻り、食堂でまんじゅうを二つ買って寮に持ち帰った。
寮には誰もいなかった。他の三人はまた外食に行ったようだ。
二口ほど食べたところで、三人が戻ってきた。若葉らんは使い捨ての弁当箱を望月あかりの机に置き、あかりが断ろうとすると、葉月しずくは高慢に言った。「今日の残り物よ。可哀想だから食べなさい」
田中かなたは小声で言った。「彼女の言うことを気にしないで。注文し過ぎちゃって、ほとんど手をつけてないから、全部きれいよ」
弁当箱の中は水煮牛肉で、肉は少なくなっていたが、野菜は十分あった。望月あかりは断らず、箸を取って食べ始めた。
若葉らんと田中かなたは勝利のポーズを交わした。本来は新しい分をあかりに持って行くつもりだったが、葉月しずくに馬鹿にされた。あの貧乏人のプライドでは、全部食べたら必ずお金を返そうとするから、半分にして返せないようにした方がいいと。
案の定、望月あかりは断らなかった。
若葉らんと田中かなたは葉月しずくに崇拝のまなざしを向け、葉月しずくは高慢に鼻を鳴らし、冷笑いながらパックを顔に貼った。
本当に貧乏人の変なプライド、人の残り物を食べるなんて。
水煮牛肉は辛くて白米に合い、望月あかりが底の方まで食べると、たくさんの牛肉が底に隠されていた。まんじゅうを持つ手が止まったが、知らないふりをして食べ続けた。
目の前に半分のミルクキャンディーが投げられ、机の上でガチャンと音を立てた。葉月しずくの軽蔑した声が後ろから聞こえた。
「誤解しないでよ。このダメな店は色んな味を混ぜて一袋で売ってるの。私たち三人で好きな味を選び終わって、残りの味は私たち三人とも食べられないから、あなたが持って行って無駄にしないで」低血糖で目まいがして、ふらふらしながら二つのミルクキャンディーに泣くなんて、誰が見ても恥ずかしいわよ。
望月あかりは彼女たちに背を向けたまま、ありがとうとは言わなかった。牛肉はとてもおいしかった。
……