修正後:第29章・大学入試

六月初め、気温が急上昇し、全国で大学入試の緊張感が漂っていた。

望月紀夫はあと一週間で試験を控えており、保護者として、望月あかりは彼の面倒を見るために戻らなければならなかった。

これは彼女と望月紀夫が一緒に過ごす最後の日々だった。試験が終われば、どこへでも、望月紀夫の自由な道が開かれる。

互いに借りも貸しもない。

山田進は望月あかりが戻ることを知り、家政婦に栄養たっぷりの食材を用意させ、自ら車で望月あかりを家まで送った。

望月紀夫の足はまだ完治していなかったが、跳ねるように未来の義兄を迎えた。

建物は相変わらずの古いアパートで、カビ臭さは山田進の息を詰まらせたが、望月あかりの前では、山田進は礼儀正しく我慢した。

紺色のポルシェが建物の下に停まると、近所の人々が集まってきた。山田進を知る中年の男性たちは安堵の笑みを浮かべた。

娘がいい家庭を見つけたなら、望月さんも安心だろう。

山田進はゆったりとしたカジュアルウェアを着て、上り下りしながら部屋を隅々まで掃除し、ドアの縁の埃まできれいに拭き取った。望月紀夫はギプスをした足で座って山田進の働きぶりを見ており、望月あかりは台所で昼食を作っていた。

この家に、ついに家族が集まった。もう夢の中でしか家族が揃わず、目を覚ますと静寂に包まれることはない。

山田進は掃除を終え、汗だくになっていた。望月紀夫は部屋に望月あかりが新しく買ったTシャツがあると告げ、シャワーを浴びて着替えるよう勧めた。

山田進はシャワーを浴びて爽やかになり、望月紀夫の前を通って台所に入り、すりガラスのドアを閉めた。

望月紀夫は見て見ぬふりをし、テレビの抗日ドラマを見ていたが、耳は長く伸ばして中の物音を聞こうとしていた。

彼は突然、父親のような物悲しさを感じた……

山田進が入ると、望月あかりはスペアリブを蒸していて、もう一方の鍋では骨付きスープが乳白色に煮込まれ、横の器には細かく刻まれたネギとパクチーが入っていた。これが望月あかりの料理の腕前だった。

山田進は思わずのどぼとけが上下した。この味を長い間待ち望んでいた。前回の金の腕輪の誤解以来、望月あかりは二度と台所に立っていなかった。

後ろから彼女を抱きしめ、山田進は彼女の髪に顔を埋めた。久しぶりの油煙の香りが、とても好ましかった。