第34章、義理の両親

山田進は六時きっかりに退社し、学校へ望月あかりを迎えに行った。

今日一日彼女の準備を手伝いたかったが、望月あかりに止められ、強制的に仕事へ送り出された。

望月あかりは寮で葉月しずくに身支度を整えてもらい、袋を持って山田進の方へ向かった。

山田進は西口で望月あかりを待つように言われ、彼女が出てくるのを見て目を輝かせ、笑いながら言った。「おや、今日の僕の彼女はとても綺麗だね。葉月さんが頑張ってくれたようだ」

袋を受け取って中身を確認すると、葉月しずくの手が加わっているのが分かり、望月あかりを車に乗せた。

これはよかった。彼女が準備してくれたおかげで、自分で準備する必要がなくなった。

望月あかりは心の中で思った。あなたと木村平助の功績が一番大きいわ。これらは全て木村平助が人を連れて消費した時の「キックバック」なのだから。

「今度レストランを予約して、君のルームメイトを食事に誘おうか?」山田進が提案した。大学ではよくある「習慣」で、ルームメイトが恋人ができると、彼氏が他のメンバーを食事に誘うのだ。山田進は腕輪のことと葉月しずくへの遠慮から、これまで表立って出てこなかったが、今は気にする必要もないので、当然誘うべきだと考えた。

「期末試験の準備があるから、みんな時間がないと思う」望月あかりは肩をすくめ、その時になってから考えることにした。寮の仲間たちは選択科目も違えば、試験の時期も異なるため、今は全員で集まることは難しい。

若葉らんと田中かなたはまだ混乱していて、山田進の正体を全く知らない。彼女たちに説明する時間が必要だった。

山田家に着くと、望月あかりはテレビでしか見たことがないような豪邸を目にした。庭園は整然と手入れされ、バラの生垣が邸宅の入り口まで続き、噴水や彫刻、緑の植物やブランコなど、どれも持ち主の洗練された趣味を表していた。

山田お父さんと山田おかあさんはカジュアルながらも品のある服装で、リビングで山田進と望月あかりを待っていた。

「父さん、母さん、こちらが望月あかりです」

家に入るなり、山田進が紹介した。

「おじさま、おばさま、こんばんは」望月あかりが挨拶した。

山田お父さんは正義感あふれる様子で、体格は大きいが中年男性によくある腹は出ておらず、まだ精悍な印象を保っていた。