第35章・招待状

望月あかりは山田家の両親に会った後、また忙しいアルバイト生活に戻った。

昼は林元紀の画室へ行き、夜は一日おきに鈴木家へ行って、鈴木明子と山田ゆうに補習を教えていた。

望月あかりは忙しく、その後しばらく山田家を訪れる時間がなかった。山田ゆうはよく山田おかあさんが買ったものを持ってきてくれた。いつも二人分で、誰にも偏ることなく平等だった。

山田ゆうの学業は順調だったが、鈴木明子は多くを落としていて、基礎から学び直す必要があり、課題は重かった。

鈴木お母さんは軍人の妻で、専業主婦だった。鈴木お父さんは部隊で年中不在で、望月あかりが訪れるたびに、鈴木お母さんは多くのもてなしをしてくれた。そのため、望月あかりは申し訳なく感じていた。

しかし、山田ゆうの家で補習するのはもっと無理だった。将来の義理の両親は優しすぎて、かえって望月あかりは居心地が悪かった。

時々、望月あかりは二人の「妹」を連れて外で補習をし、カフェや静かな自習室で勉強した。

夜の授業が終わると、山田進が車で迎えに来た。

林元紀の画室の現役受験生は全員去り、次々と喜ばしい報告が届いた。何人もが芸大に合格し、これからは望月あかりの後輩となる。

画室は一時的に緩む時期で、林元紀は望月あかりに休暇を与え、夏休み期間中は週末だけ来ればよいことになった。

生活は本当に良くなり始め、望月あかりは余裕のある収入を得て、代講の仕事も徐々に慣れてきた。

彼女と山田進は、暗黙の了解で過去のことには触れず、まるであの不快な過去が存在しなかったかのようだった。

望月あかりは、自分が教師に向いていると感じ、目の前の修士試験に専念することにした。

大学入試の結果発表の七日目、望月あかりは望月紀夫の成績を聞かなかった。彼女にできることは終わり、これからの人生は彼自身が決めることだった。

望月あかりは期末試験の準備に専念し、毎日画室と図書館の間を行き来していた。

この日、鈴木明子と山田ゆうが学校に彼女を訪ねてきて、望月あかりは彼女たちを図書館に連れて行って自習した。

山田進が彼女たちを迎えに来て、ついでに夕食を食べることになった。鈴木明子と山田ゆうはペチャクチャと何を食べるか議論していたが、望月あかりは何でも良いと言い、結局二人は長い間決められなかった。