第19章・お似合い

山田おかあさんと山田お父さんの結婚30周年記念日のパーティーは、六つ星ホテルの最上階の宴会場で開かれました。その日はちょうど週末で、山田おかあさんは望月あかりに絵を持ってくるように頼み、ついでにパーティーにも招待しました。

林元紀は、この人物が望月あかりの将来のスポンサーになる可能性が高いと分析し、一日の休暇を与え、自ら車で送っていくことにしました。

「あのような場所には、お坊ちゃまやお嬢様が多いから、誰とも衝突しないように。なるべく話さないようにして、他人の不興を買わないように。無用な人を怒らせないように」と林元紀は注意しました。望月あかりは率直すぎて何でも口に出してしまうため、重要人物の機嫌を損ねて将来に影響が出ることを最も心配していたのです。

「分かってます。私は口の堅い人になりきれますから、他人が何を言おうと関係ありません」と望月あかりは冗談めかして答えました。

「関係ないというわけにもいかないでしょう。人に質問されたら答えなければならないし、とにかく空気を読むことです」林元紀はどう言っても適切な言葉が見つからず、結局注意するのをやめて、彼女の自由にさせることにしました。

ホテルの正面には高級車が多く、林元紀は入場に列を作らなければならないと判断し、望月あかりを入口で降ろすことにしました。

望月あかりは林元紀に待たせたくないと主張し、先に帰るように言いました。

ホテル前のヨーロッパ風の大理石の柱は威厳があり、噴水の上の小さな天使たちは戯れ遊んでいました。山田進は外で今日の来客を出迎えていました。

望月あかりは遠くから山田進を見ました。彼は体にフィットした黒いスーツを着て、服はきちんとアイロンがかけられ、彼の背の高くすらりとした体つきを引き立てていました。髪はセットされて非常に精悍で、様々な来客の間を余裕を持って行き来していました。

高級ホテルの従業員は、望月あかりが包まれた絵を抱え、Tシャツとジーンズを着ていて、招待状も持っていないのを見て、彼女をスタッフだと思い、大ホールを通って裏手の作業用エレベーターへの道を指示しました。

望月あかりは山田進と知り合いだと言おうと思いましたが、この半月間、山田進に電話をしても返事がなかったことを思い出し、結局諦めて裏へ向かいました。