山田おかあさんと山田お父さんの結婚30周年記念日のパーティーは、六つ星ホテルの最上階の宴会場で開かれました。その日はちょうど週末で、山田おかあさんは望月あかりに絵を持ってくるように頼み、ついでにパーティーにも招待しました。
林元紀は、この人物が望月あかりの将来のスポンサーになる可能性が高いと分析し、一日の休暇を与え、自ら車で送っていくことにしました。
「あのような場所には、お坊ちゃまやお嬢様が多いから、誰とも衝突しないように。なるべく話さないようにして、他人の不興を買わないように。無用な人を怒らせないように」と林元紀は注意しました。望月あかりは率直すぎて何でも口に出してしまうため、重要人物の機嫌を損ねて将来に影響が出ることを最も心配していたのです。
「分かってます。私は口の堅い人になりきれますから、他人が何を言おうと関係ありません」と望月あかりは冗談めかして答えました。