第38章「策略」

国立大学を出ると、山田進が門の前で彼女を待っていた。二人はデートの約束をしていた。

望月あかりを隠れ家的な高級中華料理店に連れて行った。噂によると、宮廷料理の伝承者で、来店できる客は富豪か権力者に限られているという。

店内は江南庭園の優雅さを基調とし、庭園は精緻に造られ、中国式庭園の清らかさと、木々で区切られたプライバシー性の高い空間が広がっていた。

中庭では江南地方の民謡が流れ、チャイナドレス姿のスタッフがゆったりと落ち着いた動きで料理を運び、民国時代にタイムスリップしたような雰囲気だった。

午後には親しい友人たちと集まり、のんびりとした午後のひとときを楽しみ、おしゃべりをしながらお茶を飲む。

望月あかりは山田進と小石の敷かれた道を歩きながら、かすかに人々の話し声が聞こえてきた。