山田進はフランスへ一週間の出張に行くことになり、望月あかりは試験と重なって行けなかった。
望月紀夫のことについて山田進は二度と触れず、森結衣もあの日以来電話をかけてこなくなり、望月あかりはようやく平穏な日々を過ごせるようになった。
しかし、一つの問題が去ると、また新たな問題が持ち上がった。三日連続の試験で、毎回若葉加奈子と同じ試験会場になってしまう。
縁とでも言うのか、試験会場は毎回変わるのに、毎回若葉加奈子と彼女のルームメイトたちと同じ会場になる。この確率なら宝くじでも買ってみたらいいかもしれない。
若葉加奈子は友人たちと一緒にいて、望月あかりを見かけると非常に不愉快そうな表情を浮かべた。彼女の友人たちは望月あかりを何度も睨みつけ、若葉加奈子を慰めていた。
望月あかりは気にしなかったが、試験が半分ほど経過したとき、若葉加奈子の方向から小さな泣き声が聞こえてきた。監督の教師が苛立たしげに叱責すると、その声は小さくなった。