第74章、殺人

市警察署の刑事課で、望月あかりが入ると、女性警察官が彼女を出迎え、直接調停室へと案内した。

木村久仁子は煙草を指に挟んで片隅に座り、隣には年配に見える警察官が一人いた。

「金田警部?あなたもいらっしゃるんですか?」望月あかりは入室するなり、二人の身分を一目で認識した。

一人は先週お見合いをした木村久仁子で、もう一人は望月紀夫が叔父にひどく殴られた事件で助けてくれた金田警部だった。

金田警部は頷いて挨拶を返し、向かい側に座るよう促した。

「何があったんですか?弟はいったいどうしたんですか?」望月あかりは胸に不吉な予感を抱きながら、二人の向かいに座り、焦りながら金田警部に尋ねた。金田警部が来ているということは良いことではないはずだ。

二人は目を合わせ、女性警察官に退室を促した。女性警察官は望月あかりに水を注いで退室し、調停室には望月あかりと二人の警察官だけが残った。