警察署を出ると、外の世界はまだ美しかった。
誰もが礼儀正しく、「ありがとう」を連発していた。
望月あかりは目的もなく、どこに行くべきかも分からないまま歩いていた。
金田警部は、望月紀夫が人を殺すとは信じられないと言い、おそらく叔父との口論の際に、力加減を誤って誤って殺してしまったのだろうと。
彼女は交差点のバス停で人々の往来を眺めながら座っていた。携帯は鳴りっぱなしで、若葉らんと田中かなたが心配して、前向きに考えるように、必ず望月紀夫の潔白を証明する方法があると励ましてくれた。
葉月しずくは父親に状況を確認すると言い、山田ゆうと鈴木明子は望月あかりの弟が人を殺すはずがないと信じていると言った。鈴木明子は父親に電話して、望月紀夫が中で辛い思いをしないよう助けを求めると約束した。
携帯のニュースには社会面のトップ記事が飛び込んできた。国立大学の新入生が倫理に反し、義理の姉のために実の叔父を殺害。
その内容は様々で、まるで彼らが現場にいたかのようだった。
「実の叔父を殺すなんて、地獄に落ちろ!やっぱり孤児は心が歪んでる。これからは孤児と友達にならないようにしよう、命が大事。
——そうだよね、心の病気は治らないもの。
——じゃあ友達作るとき戸籍持ってきてもらうの?殺人者にだって両親揃ってる人いるでしょ?一括りにするの?
——上の人は孤児だね、鑑定終了。」
「じゃあ質問です。これは倫理ドラマ?それとも情死?
——投稿者は浅はかだね。叔父殺しは倫理的悲劇で、義理の姉のための殺人は情死。ドイツ骨科について調べてみて。私は詳しいから、そんな単純に考えないで。
——上の人、一部借りていいですか。
——私も賛成です、一部お借りします。
——友達が借りたいそうです。」
「みんな可哀想な人たちだ。叔父が姉を汚すと脅し、弟が耐えられずに手を出して殺してしまった。ただ残念なことに、こんなに良い将来があったのに、この子は台無しにしてしまった。
——それについて知ってる。有罪が確定すれば、国立大学は退学処分で学籍を取り消すことになる。国立大学に入学してすぐ退学となれば、国立大学の全国での影響力を考えると、この弟は出所しても、これからの人生は厳しいだろう。
——まともな仕事には就けないだろうし、人生は実質終わりだ。」
……