彫刻の傍にいた二人は質問の声を聞いて、望月あかりとライアンは離れ、振り向くと冷たい表情の山田進が立っていた。
望月あかりは彼を見ても驚かなかったが、眉をひそめて言った。「どうしてここにいるの?」
斉藤玲人は国内で彼女に情報を送り続けていた。山田進は彼女を探すことを諦めず、永陽も彼らの離婚を公表していなかったため、横浜市では皆まだ彼らを夫婦だと思っており、彼女は単に留学しているだけだと思われていた。
望月あかりは山田進のこの思い込みにうんざりしていた。このままでは、彼女は国内で普通の生活を送ることができず、どこに行っても山田夫人と呼ばれてしまう。だから今年、彼女はこのコンテストに参加することを決めた。受け身で隠れているよりも、正面から立ち向かった方がいいと思ったのだ。