第77章 計画

望月あかりはもう聞いていられなかった。この一ヶ月の間、彼がこんなにも辛い思いをしていたのに、一言も彼女に話してくれなかったなんて。

「叔父は私に土下座しろと言い、私が土下座すると殴り始めて、裏切り者だの恩知らずだのと罵りました。私はそれを受け入れました。その後、出て行けと言われたので、路地から出て、夜のうちに家に帰りました。翌日、警察が私を訪ねてきて、叔父を殺したと言われ、初めて叔父があそこで亡くなっていたことを知りました。」望月紀夫は寮の仲間たちに申し訳なく思っていた。叔父が揉め事を起こしに来た時、彼らは叔父を追い払ってくれた。

警察が来た時も、彼らは彼の弁護をしてくれた。

「望月さん、冷静になって、当時何が起こったのかをもう一度よく考えていただきたいのです。あなたの叔父は殴打により死亡しており、傷の付いた時間があまりにも近接しています。あなたの怪我だけでは、叔父からの一方的な暴行を証明することはできません。むしろ、それはあなたと叔父が互いに殴り合っていた証拠となり、あなたが叔父を殴り殺した行為の証明になりかねません。」

望月紀夫は首を振り、どうやって証明すればいいのか分からなかった。

望月あかりの目の前は真っ暗で、一筋の光も見えなかった。

目に映るのは、手錠をかけられた望月紀夫が自分の頭を抱えて泣きながら、路地の入り口で叔父の呼び声を聞いたのに、怖くて振り返らなかったことを悔やむ姿だけだった。

もしかしたら、叔父は死ななくて済んだかもしれない。

……

望月紀夫の精神状態が不安定だったため、山田進は衰弱した望月あかりを先に外に連れ出し、二人の弁護士は中に残って質問を続け、望月紀夫が見落としていた細部を思い出せることを期待した。

取調室の前には木村久仁子が立っており、警察の制服姿で凛々しく立っていた。

二人が出てくるのを見て、自分のオフィスに案内し、山田進がタバコを差し出すと、木村久仁子は受け取らず、二人に水を注いだ。

山田進も気まずがることなく、望月あかりに先に座って水を飲むよう促し、自身は木村久仁子と握手を交わした。