第151章 蜘蛛の糸

「病院は居心地が悪い?今夜はここで食事せずに、外に食べに行かない?」庭園から散歩して戻ってきた山田進は、望月あかりの様子が悪くないのを見て提案した。「医者はあなたの体に問題がないと言っていたし、気分を良く保つために、ずっと病院にいる必要はないよ」

山田進はシャツに着替え、ネクタイを締めながら尋ねた。「一昨日、母が少し言い過ぎたけど、年上だから強い言い方になってしまうのは仕方ないし、心の中では私たちのことを思ってのことだよ。気分が悪いなら、僕を叩いて気を晴らす?」

そう言って、家政婦がいつ出てくるかも気にせず、望月あかりの手を取って自分の体に向かって振り上げようとした。

望月あかりは彼とイチャつく気分ではなく、「私にレッテルを貼らないで。ただ眠くて、ここではぐっすり眠れないから、帰って少し寝たいだけよ」と言った。

昨日から今日にかけて奇妙なことに、彼女は確かに眠っているのに夢を見続け、昼まで寝ても疲れが取れず、眠くて怠い感じがしていた。

「それでいいんだよ、あなたが眠っている時は、坊やが成長する時なんだから」

山田進は望月あかりを動かさせず、カジュアルなゆったりしたワンピースに着替えさせ、外に連れて行った。「ホテルに一泊するのはどう?家庭医も連れて行って、今日は病院に戻らないことにしよう。私たち、ずっとデートしていなかったから、この機会に気分転換に出かけよう。何が食べたい?レストランを予約するよ」

彼が「家出」してから今日まで、半年近く経つが、望月あかりとゆっくり話す時間もなかった。

二人が外に向かう途中、山田進は車に仕事の書類を置いてきたことを思い出し、地下駐車場の温度変化が激しいのを気にして、望月あかりをロビーで待たせることにした。

望月あかりは暇つぶしにロビーで歩き回っていると、古い知人に出会った。

「望月あかり?どうしてここに?」

望月あかりが振り返ると、林元紀が林お母さんを連れているのが見えた。林お母さんは全体的に痩せて、髪の毛は枯れたように黄ばんでいた。精神状態があまり良くないようで、元々つり上がっていた三角の目が今ではさらにひどくなり、望月あかりを見るなり睨みつけているようだった。

もちろん、林お母さんが彼女を睨んでいなければの話だが。