第177章 プロポーズ

望月あかりは彼のことを思い出すと胸が悪くなり、不満げに言った。「あなたはいつも公にしたがらないわ。今では毎日、人を断らなきゃいけなくて、もう嫌になっちゃう」

「ガチャン!」という音とともに、まな板の上のスペアリブが一刀両断された。斉藤玲人はスペアリブを水で洗いながら言った。「ほう、また公にしないことを責めるのか?鏡を見て自分の顔を確認したらどうだ?たとえ公にしても、私がフランスにいない隙に、彼は君に近づいて告白するだろう。そんな無駄なことをする必要があるのか?」

この言葉には意外な可愛らしさが含まれていて、望月あかりはふんふんと鼻を鳴らした。「口では否定しているけど、本当はすごく怒ってるじゃない」

斉藤玲人という人物は、表面は上品だが中身は悪党で、自分のイメージを最も重視している。今は几帳面だが、後で望月あかりは信じられなくなるだろう。

「怒るのは当然だが、君にもっと良い選択肢があることを願っているだけだ」斉藤玲人は魚を蒸し器に入れ、時間を確認してから望月あかりを追い出した。「早く出て行きなさい。美人は油煙に当たってはいけない。大美人はなおさら台所に近づいてはダメだ」

彼はすぐに炒め物を始めようとしていたので、彼女は急いでその場を離れた。

望月あかりは外で食事を待っていた。テレビではまた他のニュースを報道していて、彼女の受賞インタビューの映像も流れていた。ちょうどそのとき、土井あきらから電話がかかってきた。

「望月あかり!大ニュースだ。国内で『戦国』という主流映画を撮影することになった。今、キャスティングが完了して、今日総監督から電話があって、君のインタビューを見て、映画のために絵を描いてほしいと言っているんだ!」

『戦国』は政府が企画し、監督は業界で徳望の高い大監督の中村正博だ。噂が広まるや否や、各界の有名人たちが動き出し、ここで良い実績を残そうと競い合っていた。

歴史的な理由で、この映画には専門的な美術家による絵画が必要で、元々は国内の有名な老教授に決まっていたが、今突然望月あかりを加えることになり、土井あきらは当然喜んでいた。