市の中心部にある高級タウンハウス。ここに住む人々は裕福か身分の高い人ばかりだった。
望月あかりが住んでいる棟の三階の窓は明かりが付いたままで、山田進は下で待機しながら、パジャマ姿で窓のカーテンを引く望月あかりの影を見た。
その瞬間、山田進の心がようやく落ち着いた。
この7年間、彼女は裕福な暮らしをして、貧しい思いをすることはなかった。彼女は美しくなり、過去の暗い影から抜け出したことを示していた。
山田進は車の中から上階を見つめながら、手には彼女のここ数年の資料があった。彼女は有名な芸術大学の大学院に合格し、修士から博士課程まで進学し、この数年は指導教授と世界中を旅していた。
彼女が見つからなかったのも当然だ。彼女の人生はこんなに充実していたのだから。
書類の中には写真が挟まれていて、すべて彼女のこれまでの生活写真だった。