第175章 元夫_2

笑えるわ、彼女はとっくに斉藤玲人と浮気していたのに、彼は間違った人を疑っていたのよ。

「望月あかり?この方は...?」ライアンは山田進を知らなかった。中国語は理解できたが、二人の会話の内容はよく分からなかった。

「私の元夫よ。離婚して7年になるわ。」望月あかりは率直に紹介したが、山田進とは話す気はなく、「少し疲れたわ。帰りましょう」と言った。

山田進を見ると、彼女の良い気分は全て消え失せた。警告するように山田進を睨みつけると、彼女の予想通り、彼はその場に立ち尽くしたまま。これらの年月を経ても、まだ彼女に対して威圧感があるようだった。

ライアンは理解し、望月あかりと山田進の間に立ち、望月あかりと肩を並べて歩き始めた。山田進の前を通り過ぎる時、望月あかりは彼に一瞥もくれなかった。

彼のこの癖は、おそらく一生治らないだろう。もう手遅れだ。

ライアンも山田進と目を合わせることはなかった。雄の生き物には生まれつきの直感があり、山田進はライアンが気に入らず、ライアンも山田進が気に入らなかった。それは彼らが同じ獲物を狙っていたからだ。その獲物とは望月あかりだった。

しかし今の状況では、明らかにライアンが優位に立っていた。そのため、山田進の傍を通り過ぎる時、ライアンは極めて礼儀正しく別れの言葉を告げた。「申し訳ありませんが、私たちはこれで失礼させていただきます。」

これは山田進にとって、ライアンが彼に対して示威行為をしているように感じられた。そして望月あかりは今、明らかにライアンを守る立場にいた。

山田進には追いかける勇気がなく、その場に立ち尽くしたままだった。

結婚生活での望月あかりへの後ろめたさは今でも続いていた。彼には望月あかりに一言声をかける勇気すらなかった。望月あかりはもう昔の望月あかりではない。この3年間で新しい友人ができ、彼女は既に7年前に彼を見捨てていた。

...

ぼんやりと会場に戻ると、望月あかりは既に去っていた。

この7年間、永陽はフランスで名声を得ていたため、山田進が入ってくるとすぐに、様々な著名人や富豪たちが彼の周りに集まってきた。

彼らは今回の金賞受賞者について紹介し、レオグループの広報部門についても説明した。