その夜は藤田グループが主催するチャリティーディナーだった。
鈴木之恵は自分のコレクションが藤田深志に持ち去られてしまったのではないかと不安を感じていた。あの乱暴な男が丁寧に扱ってくれたのだろうか。大きな袋に全部ごちゃごちゃと詰め込んでしまったのではないだろうか?
考えれば考えるほど心配になった。
八木修二は鈴木之恵がドレスを買っただけでは不十分で、ヘアメイクも必要だと考えた。
彼女を人気のヘアサロンに無理やり連れて行き、数時間かけて仕上げた。八木修二は満足そうだったが、鈴木之恵には以前と変わった感じがしなかった。入店時はお団子ヘアで、出てきた時もお団子ヘア。ただ、自分で結うよりも自然な感じで、上にパールのアクセサリーを付けただけだった。
二人は昼食を適当に済ませ、鈴木之恵は見知らぬ番号から電話を受けた。