第118章 どこを触りたい?

夜の十時、藤田深志の車は千葉市の自宅の別荘に到着した。

この時、鈴木之恵はすでに入浴を済ませ、布団に入って寝る準備をしていたが、外の物音を聞いて胸に不吉な予感が込み上げてきた。彼女は起き上がり、素足で床に降り立ち、案の定、大魔王様が車から降りてくるのを目にした。街灯の下で影が長く伸び、その姿がより一層颯爽としていた。

鈴木之恵は彼がこんな夜遅くに追いかけてくるとは思いもよらなかった。自分は彼がデザイン部に配置した取るに足らない助手に過ぎないのに、こんなことで大げさすぎるのではないか?

結局のところ、自分が約束を破ったのだ。電話で川内マネージャーに戻ると約束したのに、それを反故にしてしまった。鈴木之恵は落ち着かない気持ちで布団に戻り、良い言い訳が思いつかず、寝たふりをすることにした。

藤田深志は階段を上がって直接鈴木之恵の部屋を見つけ、彼女がベッドの真ん中にきちんと横たわり、首まで布団をしっかりとかけているのを見て、この暑さで窒息しないのかと思った。

彼はまずシャワーを浴び、かなり長い時間浴室にいた。

鈴木之恵は心の中で時間を数えながら、彼がシャワーを終え、服も洗濯し、ドライヤーも使ったようだと聞いていた。彼が布団をめくって入ってきた時、彼女の心臓が急に締め付けられた。

「どうして服を着ていないの?」

藤田深志は強引に枕を奪い、彼女に腕を差し出した。

「もう寝たふりはやめるか?」

同じベッドで三年も寝ていれば、彼女の寝相を知らないはずがない。寝る時は猫のように丸まって、布団の半分を両足の間に挟むような寝方をするのに、先ほどのようにきちんと寝ているはずがない。誘拐でもされない限り。

鈴木之恵の目の前には、彼の筋肉の美しい胸と腹部があった。フィットネスインストラクターのように特別に鍛えた大きな筋肉ではなく、ホルモンが溢れ出るような自然な筋肉で、引き締まって力強く、それぞれの筋肉の曲線が絶妙で、まるで神様が人を造る時に特別にデザインしたかのようだった。

彼女は一瞬我を忘れた。考えてみれば、二人がこのように同じ布団の中で寝るのは久しぶりだった。

藤田深志は胸の前の微かな熱い息遣いを感じ、胸が震えた。

「触りたければ触ってもいいよ。」

彼女が彼の腹筋に惹かれているのは今に始まったことではない。毎晩触りながら寝ていたのだから。