藤田深志もこのような場面は初めてではなかった。秋山奈緒が帰国して以来、発作を起こす回数は数え切れないほどだった。今回が以前と違うのは、お腹に子供がいることだった。
その子供は彼の子供だった。
間違いなく、秋山奈緒は彼を縛り付けるもう一つの切り札を手に入れた。
自分がした愚かな行為のせいで、彼はそのまま放っておくことができず、あの夜に戻ることもできなかった。もし今日のような事態になることを知っていたら、死んでも彼女と酒を飲んで昔話をすることはなかっただろう。
藤田深志は黙り込んだ。部屋の中の二人の老人を見たくもなかった。特に秋山泰成を。彼は秋山奈緒に向かって言った。
「帰国してから具合が悪くなるのは、適切な医者を見つけていないからかもしれない。アメリカの専門家と連絡を取った。心臓病の分野では権威だ。来週の水曜日に時間があるそうだ。私たちが向こうに行くか、それとも彼をこちらに呼ぶか、どうする?」