第164章 家に帰らないろくでなし

秋山泰成は昨日の慈父のような様子はなく、反対に凶悪な表情を浮かべており、ジョナランに至っては人を食いそうな勢いだった。

「鈴木之恵、今日は藤田深志と離婚手続きに行くと約束したはずだが、どこをうろついていたんだ?」

秋山泰成は早朝から藤田深志が会社にいて、会社を離れる予定がないことを聞き出していた。この死に損ないの娘が昨日は自分をごまかしていただけで、離婚のことなど全く考えていなかったのだと察した。

ジョナランは傍らで罵った。

「この小娘は私の婿を奪おうとしているだけよ。あなたには分別があるはずだわ。他人のものをいくら必死に掴んでも無駄よ。藤田社長と私の娘の奈緒は天が結んだ運命の相手。あなたのような女が現れて無理やり二人を引き裂いたから、私の孫はもっと早く生まれていたはずなのに、今になってやっと妊娠したのよ。」

鈴木之恵は濡れた髪を払いながら尋ねた。

「あなた、少しは恥を知るべきじゃないの?不倫は家訓なの?」

ジョナランが反応する前に、秋山泰成が先に爆発した。

「この目上を敬わない死に損ないの娘め、礼儀廉恥を知らないのか?鈴木美波という女はそんな教育しかできなかったのか?」

鈴木之恵は全身濡れそぼち、体中から寒気が漂っていた。彼女は目を上げて秋山泰成を睨みつけ、祖母が亡くなる前の雨の日のことを思い出した。彼女は秋山泰成の新居の門前で一日中跪き、祖母に会いに来てくれるよう懇願したが、彼はどれほど冷酷だったことか。

今になって「孝」を語るなんて、あまりにも身勝手すぎる。

「秋山泰成、今日が私の祖母の命日だということを知っているの?亡くなって三年になるけど、あなたは彼女の墓がどこにあるかも知らないでしょう?」

秋山泰成は一瞬驚いた表情を見せ、明らかにそのことを知らなかった。鈴木之恵に面と向かって問い詰められ、面子が立たなかった。

「他のことを持ち出すな。なぜ離婚しに行かなかった?」

鈴木之恵は冷笑した。

「秋山泰成、自分が何を言っているのか、よく考えてみたら?」

たとえ藤田深志と離婚するにしても、それは感情の行き詰まりが理由であって、秋山泰成の言いなりになって秋山奈緒のために席を譲るほど愚かではない。

秋山泰成は目を鋭く光らせ、怒りが頂点に達していた。

「この死に損ないの娘め、私を騙したな?」