第164章 家に帰らないろくでなし

秋山泰成は昨日の慈父のような様子はなく、反対に凶悪な表情を浮かべており、ジョナランに至っては人を食いそうな勢いだった。

「鈴木之恵、今日は藤田深志と離婚手続きに行くと約束したはずだが、どこをうろついていたんだ?」

秋山泰成は早朝から藤田深志が会社にいて、会社を離れる予定がないことを聞き出していた。この死に損ないの娘が昨日は自分をごまかしていただけで、離婚のことなど全く考えていなかったのだと察した。

ジョナランは傍らで罵った。

「この小娘は私の婿を奪おうとしているだけよ。あなたには分別があるはずだわ。他人のものをいくら必死に掴んでも無駄よ。藤田社長と私の娘の奈緒は天が結んだ運命の相手。あなたのような女が現れて無理やり二人を引き裂いたから、私の孫はもっと早く生まれていたはずなのに、今になってやっと妊娠したのよ。」