第180章 彼女を精神科へ連れて行く

藤田深志の車が病院に到着し、彼は直接産婦人科の救急外来に彼女を抱えて入った。

数人の医師が秋山奈緒の全身検査を行い、結果は精神的なショックを受けており、胎児の安全のために入院観察が必要とのことだった。身体的には膝に軽い外傷があり、腕に締め付けられた跡、顔には殴られた痕があるものの、他には特に問題はなかった。

彼女の身体に大きな問題がないと確認できて、藤田深志はほっと胸をなでおろした。ようやく彼女を見つけ出すことができた。

この一日一夜は、彼の心がジェットコースターに乗っているかのように締め付けられていたが、結果は最悪ではなかった。

秋山奈緒がまだ意識を失っている間、彼は柏木正にここで見張らせ、自分は入院棟へ向かった。この件については、あの女に確認しなければならない。

鈴木之恵の病室の外に来たとき、彼女はすでに退院手続きを済ませ、荷物をまとめているところだった。

鈴木之恵は彼が入ってきたのを見ても相手にせず、包帯を巻いた手で不器用に荷物をまとめ続けていた。一日の経過観察で大きな問題はなく、自宅療養が可能だった。

実際には軽い風邪と休息不足による過労だけだったが、彼女は病院の消毒液の匂いが嫌いで、病院に対して一定の心理的恐怖も持っていた。

幼い頃、鈴木美波が目の前で亡くなったのも、このような病院のベッドの上だった。多少心に影を落としており、身体が持ちこたえられる限り自宅で過ごしたいと思っていた。

「お前がやったんだろう？」

藤田深志は唐突に尋ねた。

鈴木之恵の動きが一瞬止まり、機械的に口角を上げた。

「藤田社長は何を聞いているんですか？質問をはっきりさせないと、何に答えればいいのかわかりません」

藤田深志は胸の前で腕を組み、よそよそしい目で彼女を審問するように見た。

「なぜそんなことをした？昨日、人をどれだけ怖がらせたか分かっているのか？ジョナランは正気を失い、奈緒は今も意識不明だ」

鈴木之恵は、彼がどんな事でも最初から秋山奈緒の味方をして、秋山奈緒の視点でものを見て、秋山奈緒の立場から彼女を非難することにもう慣れていた。

彼女は反問した。

「なぜそうしたのかを聞く前に、まず彼女が何をしたのか聞いてみてはどうですか？」

藤田深志は鼻で笑った。

「この二日間、彼女は私に監禁されていた。彼女に何ができる？分身の術でも使えるとでも？」