鈴木之恵は二人のアシスタントを雇い、新芽工房が正式にオープンした。
開業当日、鈴木由典は多くの花かごを贈ってきた。妹は控えめに、自分の手で起業したいと言い、彼は心配で手を貸したい気持ちを抑えきれなかったが、彼女の決意を尊重して介入を控え、ただ花かごを贈って賑やかさを添えるだけにした。
彼は鈴木之恵の能力にも期待を寄せていた。
鈴木之恵がオフィスの本を整理している間、アシスタントの木下綾と木村悦子はオフィスエリアで花かごの配置に取り組んでいた。これらの花はすべて鈴木由典から贈られたもので、木下綾は満開の花を一鉢ずつ整然と並べながら、最後の特大の花かごを見つめて呆然としていた。
通常の花かごは1メートルほどの高さだが、最後のものは2メートルもあり、もはや花かごとは呼べず、まるで巨大な花の柱のようだった。花屋で売っているようには見えず、特別注文品のようだった。
あまりにも派手すぎた。
「芽さん、この一番大きな花かごはどこに置きましょうか?」
鈴木之恵は顔を上げて一瞥し、さりげなく言った。
「床窓のところに置いて。」
午前中の忙しい時間を過ごし、鈴木之恵は今日最初の注文を受けた。
ファッショナブルで気品のある若い女性が8センチのハイヒールで入ってきた。
「誰かいらっしゃいますか?若い人向けのダイヤモンドブレスレットと、母向けの宝石のネックレス、指輪、ブレスレットのセット、それから髪飾り用の真珠の花を注文したいんです。お金は問題ありません。最高級の素材でお願いします。」
二人のアシスタントは喜びの表情を浮かべた。開業初日に大きな注文が入ったのだ。急いでこの御客様を部屋に案内し、上等なお茶とお菓子でもてなした。
鈴木之恵はパソコンを持ってきて、彼女の要望を一つ一つ記録していった。
連絡先と住所を聞く時、その女性が告げた住所は京都府の高級住宅地で、鈴木之恵はその場所に心当たりがあった。
その馴染みのある住所を聞いて、キーボードの上で手が一瞬止まった。
「陸田さん、差し支えなければ、どのようにして私たちの工房をお知りになったのか、教えていただけますか?」
陸田詩子は率直に答えた。
「鈴木社長のオフィスで広告を見たんです。彼の目に留まるデザイナーなら間違いないと思って。」