第223章 クズ親父!

鈴木弘文は小さな口を尖らせて、「秋山なんて聞き苦しい名前、誰がそんな姓を名乗るものか!」

藤田深志は切迫した様子で尋ねた。

「秋山奈緒を知らないのか?」

鈴木弘文は心の中で思った。この父親は一体どういう思考回路なんだ、秋山姓の話ばかり執着して。

「彼女はどこの家政婦さん?そんな名前聞いたことないよ」

藤田深志の目から緊張の色が徐々に消え、宙ぶらりんだった心が胃の中に落ちた。あの悪女が逃げた時、投与した薬が効かずに子供を産んでしまったのではないかと心配していた。

目の前の子供は嘘をついているようには見えない。彼は全身の力が抜けた。

この子が秋山奈緒の子供でなければ、誰の子供でもいい。

「私が...お父さんだって?」

鈴木弘文は頷いて言った。

「確信はないけど、ただの疑いだよ」

結局、ネットで長い間探しても、ママと関係があった男性はこの人だけで、最も疑わしかったのだ。

藤田深志は鈴木弘文の隣に座り、「パパ」という言葉に心の中で異様な感情が芽生えた。彼は生まれることのなかった自分の二人の赤ちゃんのことを思い出した。

この子供は大人びた口調で、驚くような発言をするが、嫌味な感じはしない。普段は子供の騒がしさが苦手なのに、意外にもこの子供に興味を持った。仕事は山積みなのに、小さな子供と話し込んでいる。

「家族とはぐれたの?どうして一人なの?」

鈴木弘文は白眼を向け、自分を子供扱いする態度に非常に不満そうだった。

「子供じゃないよ!もう四歳過ぎてるんだから!」

藤田深志は眉を上げた。

「そうか、四歳の弘文くん。男同士の話をしようか。好きな人はいる?」

鈴木弘文は最初、一番好きなのはもちろんママだと言おうとしたが、言葉が口まで来て、この義理の父親に振り回されてはいけないと思った。ママのために彼を試しに来たのだから、もし不合格なら、落第点の父親なんて要らない。

彼は大きな目を回して言った。「あなたが先に言って!」

藤田深志はソファに寄りかかり、表情が暗くなった。この数年間、彼は抑圧された生活を送り、誰にも心の内を明かすことはなかったが、今は四歳の小さな子供に心を開いている。