彼は長い間実家に帰っていなかった。
鈴木之恵が去った後、祖父は彼と対立し、鈴木之恵を連れ戻さない限り実家の門をくぐらせないと宣言した。
そう言いながらも、結局は実の孫のことだ。老人は最初の2年だけ彼を家に入れなかったが、後に彼が苦労している様子や、無限の後悔の中で生活し、人とも幽霊ともつかない状態で自分を追い込んでいることを知り、老人は彼のことを心配していた。
正月や祝日には、家族団らんの食事に参加することを許すようになった。
食事以外では、老人は彼と関わりたがらなかった。その後、誰かが鈴木之恵の死の知らせを老人に伝え、老人は大病を患い、九死に一生を得た。
それ以来、老人は完全にこの長孫を無視するようになった。
藤田深志は自分の罪の重さを知っており、祖父の許しを求める資格はないと思っていたが、それでも毎週末帰省して様子を見に来ていた。泊まることはせず、使用人から老人の最近の食欲や好みを聞き出し、好物を買って届けるだけで、自ら老人に話しかけて怒らせることは避けていた。