翌日、鈴木之恵と小川淳は京都府で有名な西洋料理店で待ち合わせた。
鈴木之恵は、彼女に付き添って京都府へ来て秋山実業の件を処理することが大変な仕事だと分かっていた。小川淳は鈴木由典との深い友情があってこそ来てくれたのだ。彼女はホストとしての務めを果たし、感謝の気持ちも伝えなければならなかった。
渋滞を心配して、彼女は1時間早く出発し、配車サービスの車がすでに別荘の外で待っていた。
清掃員が掃除をしており、プラタナスの木の下にはタバコの吸い殻が散らばっていた。
彼女は数秒ぼんやりしてから車に乗った。
鈴木之恵は十分早く着いたと思っていたが、小川淳の方が一歩早かった。
「小川社長、申し訳ありません。遅れてしまって。」
小川淳は今日スーツに着替え、髪にはジェルを付けて整えており、このような装いで社会のエリート感が出て、昨日よりもずっと頼もしく見えた。
もちろん鈴木之恵は彼の能力を疑ったことはなかった。鈴木由典が彼女に紹介した人物なのだから、必ず信頼できる人物のはずだ。
小川淳は口元を緩め、腕時計を見て、
「あなたが遅れたわけではありません。私が早く着きすぎただけです。あなたも早く来ていますよ。」
鈴木之恵はすでに個室を予約していたので、二人は直接サービススタッフについて行った。
個室に入ると、鈴木之恵は一束の資料を小川淳の方に押し出し、
「小川社長、これが私がまとめた秋山実業に関する資料です。現在私は51パーセントの株式を保有しており、総数の半分以上で、会社の筆頭株主です。」
小川淳は資料を受け取って大まかに目を通し、ゆっくりと閉じて手元に置き、お茶を少しずつ飲みながら、
「之恵、焦る必要はありませんよ。」
彼は一見いい加減そうに見えるが、実際には準備なしで戦いに臨むことは決してない。鈴木之恵が渡してきたその資料は、昨夜一晩かけて既に予習済みで、むしろ彼女が提供したものよりもさらに詳細な情報まで調べ上げており、秋山泰成と取引のある協力企業の内情まで徹底的に調査していた。
鈴木由典の周りには給料泥棒は一人もいない。小川淳が鈴木不動産の副社長を務められているのは、その能力に疑問の余地がないからだ。頭の回転も少なくとも八百個の策略を持っているはずだ。
彼が約束に応じたのは、純粋に彼女と二人きりで食事がしたかっただけだ。