鈴木之恵は驚きの表情を浮かべた。この息子は普段から電子機器をいじるのが好きだったが、まさか何日もかけて組み立てているロボットにこんな高度な機能があるとは。身を守るために使えるなんて?
「弘文、あなたのロボットって本当にそんなにすごいの?」
鈴木弘文は小さな顎を上げ、得意げな様子になった。
「もちろんだよ。叔父さんがくれた最高級の材料に、僕の天才的な頭脳を組み合わせれば、最強のものが作れるに決まってる。あと二日で完成するから、そしたらママを守らせるよ」
鈴木之恵は数秒ぼんやりとした後、それも悪くないと思った。もし弘文の作るロボットが本当にそれほど優秀なら、オフィスに置いておくのも役に立つかもしれない。
「弘文はすごいわね。じゃあママの安全は弘文のロボットに任せるわね!」
鈴木弘文はついにママの顔に笑顔を見つけ、自分も嬉しくなった。
「だから、ママ心配しないで。僕が周りの悪い人を全部追い払うから」
鈴木之恵は笑いながら言った。
「ママはあのことで落ち込んでいるわけじゃないの。もう過ぎたことだから、心配しないで」
母子の会話は鈴木之恵の携帯電話の着信音で中断された。二人は同時に横の携帯電話を見た。
「弘文、妹と遊んでくれる?ママは少し用事があるの」
鈴木之恵の表情が変わり、携帯電話を隠すように片付けた。完全に弘文に見られないようにする様子だった。
鈴木弘文は返事をして、おとなしく部屋を出た。
廊下に立って、小さな子は考え込んだ。さっきママの画面に表示されたメッセージの送信者名を見てしまった。あの嫌な人からだった。
ママの反応も完全に捉えていた。メッセージを見て緊張した様子で、表情が厳しくなった。
しばらく考えた末、鈴木弘文はママが昨日目を赤くして泣いていたのは、きっとあの悪者と関係があると思った。
彼の小さな頭の中で大きな警報が鳴った。ママがまた悪い人にいじめられているに違いない。
そんなの許せない!!!
鈴木弘文はすぐに自分の部屋に戻り、ドアに鍵をかけ、パソコンを取り出して、小さな手でキーボードを素早く叩き始めた。
京都府。
藤田深志は実家を出て会社へ直行した。
しばらく戻っていなかったが、せっかく京都に戻ってきたのだから、顔を出して溜まった緊急の仕事を片付ける必要があった。