鈴木由典が紹介を終えると、小川淳に尋ねた。
「小川、最近お見合いをしたって聞いたけど、うまくいかなかったんだろう?」
小川淳は思わず笑って、
「前回は母が手配したもので、ただ形式的に参加しただけです。人生の大事なことは自分が満足できるものでなければならないですから、適当にはできません」
そう言って、何気なく鈴木之恵の方を見やり、心の中で密かに喜び、なぜか良いことが起こりそうな予感がした。
鈴木由典は眉を上げて言った。
「うまくいかなかったのは良かった。もし君が独身じゃなかったら、この件を任せる気にはなれなかったよ。今、妹が京都府の会社で内部管理に問題が出ていて、信頼できる人間を送り込む必要があるんだ。他の人は信用できない。行ってくれないか?」
小川淳は数秒間気まずそうにして、咳払いをした!