第286章 行かないで

その時、古田先生と鈴木之恵の視線が藤田深志に集中し、彼が薬を取り出すのを待っていた。

藤田深志は話題をそらそうとして、

「古田先生、先日母の診察はどうでしたか?この前また気を失ったんですが」

古田先生は事実を述べた、

「奥様は持病ですね。先日エアコンで少し冷えを引いてしまったようです。ご心配なく、私が漢方薬を処方して体調を整えれば、ゆっくり養生すれば大丈夫です」

「それじゃ、エアコンは使えるんですか?この暑さの中、エアコンなしではちょっと辛いですし、他の人も暑がりですから」

「エアコンは大丈夫です。直接当たらないように気をつけて、温度を低くしすぎなければ問題ありません」

……

鈴木之恵は心の中でイライラしていた。真夜中に彼を見に来たのは、藤田深志がエアコンを使えるかどうかというつまらない話を聞くためではなかった。