その時、古田先生と鈴木之恵の視線が藤田深志に集中し、彼が薬を取り出すのを待っていた。
藤田深志は話題をそらそうとして、
「古田先生、先日母の診察はどうでしたか?この前また気を失ったんですが」
古田先生は事実を述べた、
「奥様は持病ですね。先日エアコンで少し冷えを引いてしまったようです。ご心配なく、私が漢方薬を処方して体調を整えれば、ゆっくり養生すれば大丈夫です」
「それじゃ、エアコンは使えるんですか?この暑さの中、エアコンなしではちょっと辛いですし、他の人も暑がりですから」
「エアコンは大丈夫です。直接当たらないように気をつけて、温度を低くしすぎなければ問題ありません」
……
鈴木之恵は心の中でイライラしていた。真夜中に彼を見に来たのは、藤田深志がエアコンを使えるかどうかというつまらない話を聞くためではなかった。
「古田先生、まず彼の診察をしていただけませんか?熱で死にそうなんです」
古田先生は気まずそうに咳払いをし、前に進み出て藤田深志の発疹を診察した。
「藤田社長、この発疹は首だけですか?他の部分にもありますか?」
藤田深志は腕を掻きながら、全身が痒く感じていた、
「わかりません。たぶん全身にあると思います。とにかく腕も痒いです」
「服を脱いで見せてください」
藤田深志は特に気にすることもなく、古田先生も男性だし、気力を振り絞って起き上がり、あっさりと上着を脱ぎ、そして尋ねた、
「ズボンも脱ぎますか?」
古田先生は笑みを浮かべて、
「いいえ、結構です。わかりました」
この時、鈴木之恵の顔色は豚の肝臓のように悪くなっていた。もし古田先生が否定しなければ、このろくでなしは間違いなく彼女の前で全裸になるところだった。
「藤田社長、服用された薬を出してください。アレルギーの重症度を判断したいのですが、そうでないと安易に投薬できません」
話題がまた薬に戻った。
藤田深志はためらいながら、
「適当な抗アレルギー薬を処方してください。そんなに神経質になることはありません」
鈴木之恵はもう聞いていられなかった。普段仕事では効率を重視する彼が、今日に限ってなぜこんなにもモゴモゴと要点に触れない話をするのか。
「彼が飲んでいたのは抗うつ薬です。薬の名前については、藤田社長に薬瓶を出してもらわないとわかりません」