そのスタイリストは清水優紀のような傲慢さはなく、とても親しみやすい人柄だった。
「鈴木さん、こちらにどうぞ。詳細について話し合いましょう」
鈴木之恵は安心して座った。来るからには覚悟を決めて、パーティーに出席し陸田直木の同伴者として、きちんと身なりを整えなければジュエリーの宣伝なんてできない。それなら家で子供の面倒を見ていた方がましだ。
スタイリストは鈴木之恵の普段好むメイクスタイルについて尋ねた後、彼女の顔で専門的な技術を発揮し始めた。
メイク中、陸田直木が注文したドレスが届いた。アシスタントが様々なスタイルのドレスを一列に並べて持ってきて、自由に選んで組み合わせることができた。
鈴木之恵は鏡越しに後ろのドレスの列を見て、この規模は大げさすぎると思った。こんなことになるとわかっていたら、死んでも陸田直木についてこなかっただろう。