第328章 決着

鈴木之恵は手のひらに汗を握りしめ、人混みをかき分けて、すぐに最前列まで押し入った。

地面に横たわる人を見た瞬間、全身が凍りついた。

秋山奈緒は真っ青な顔で地面に倒れており、傍らの人が心肺蘇生を施していた。

鈴木之恵の先ほどまでの焦りが複雑な感情に変わった。この女性はただの演技ではないかと疑わずにはいられなかった。目を閉じているが、まつ毛が震えている。

死んだふりや病気のふりは、彼女の得意技だった。

彼女の最大の得意技は、弱々しく演じて他人の同情を買い、自分を最も哀れな立場に置いて他人を縛ることだった。

鈴木之恵は思わず振り返り、藤田深志の視線と交差した。

彼女は習慣的に、藤田深志が心配して急いで駆けつけると思っていた。しかし藤田深志の表情には何の変化もなく、むしろ傍観者のような様子だった。