鈴木之恵は関連書類を取り出し、皆に見せた。
「今、私がこの会社の筆頭株主です。皆さん、前に来て確認してください。」
この言葉に、その場にいた全員が凍りついた。藤田晴香たちの野次馬も会話を止め、今まさに起きている出来事に注目した。
皆は秋山奈緒への追従を止め、互いに顔を見合わせ、誰も口を開く勇気がなかった。
先日の株主総会で、会社の二つの勢力が対立していた時、社長の娘が出てきて事態を収拾した。やっと状況が落ち着いたと思ったら、今度は若い女性が現れて自分が筆頭株主だと言い出した。
彼らは信じられなかったが、重大な問題なので、心の中で疑問を持っていても誰も声を上げる勇気がなかった。
この時、会社の大株主の一人が前に出て、鈴木之恵が持っていた書類を見ると、表情が凍りついた。再び顔を上げて鈴木之恵を見つめ、その目には敬服と驚きが浮かんでいた。