彼女が壇上に上がると、会場から拍手が沸き起こった。誰かが歓声を上げた。
「秋山若様は私たちの会社の福利厚生について話してくれるのでしょうか?」
秋山泰成はケチな人で、従業員に対して厳しく、会社の制度はすべて給与と連動していた。
1分遅刻すれば減給、1分早退すれば減給、デスクで食事をすれば減給、勤務時間中に持ち場を離れても減給。まるで従業員の給料を全部没収して、逆に金を払わせたいかのようだった。
会社の従業員たちは耐えられないほど苦しんでいたが、ここ数年各業界が不景気で仕事を見つけるのが難しく、生活の圧力が大きいため、とっくに辞めていたはずだった。
ようやく新しいリーダーが就任するのを待ち望んでいた彼らは、心の中で喜びを感じ、これらの不合理な制度が改善されることを期待していた。