夕食は八木修二が自ら調理を担当し、藤田深志も自主的にキッチンを手伝っていた。料理の腕はそれほどでもないが、下準備程度なら問題なかった。
リビングには鈴木之恵、八木真菜、村上拓哉の三人が残り、テレビを見ながら食べ物をつまんでいた。二人の子供たちもお腹が空いてきて、おとなしくソファーでナッツを食べていた。
八木真菜は食べながら笑いを堪えていた。彼女の友人は見事なもので、今や完全に仕事を人任せにしていた。
食事中、藤田深志は電話を受けに行き、戻ってきた時の表情が少し違っていた。彼は何も言わなかったが、鈴木之恵はその電話が自分に関係していることを感じ取った。
友人たちの前では聞けなかったが、帰り道で口を開いた。
「何かあったの?」
藤田深志は運転しながら、無表情で言った。
「警察からの連絡で、秋山奈緒の判決が出た。懲役三年だ」
鈴木之恵の心臓が締め付けられるような思いだった。
「どうして三年だけ?」
「警察の言葉によると、すべての事件はジョナランが操っていて、秋山奈緒は直接関与していなかった。この範囲内では重い判決だという」
鈴木之恵は両手を強く握りしめた。ジョナランの策略が深すぎて、秋山奈緒をうまく守り通し、すべての罪を一人で背負ってしまった。秋山奈緒は共犯者としてしか裁けなかった。
藤田深志は信号待ちの間にルームミラーから彼女を見た。鈴木之恵の顔は真っ白で、血の気が全く失せていた。彼は彼女がその女を憎んでいることを知っていたが、警察の判決には彼にも介入する余地がなかった。
「之恵、しばらくしたらイギリスでオークションがある。イギリス女王が身につけていたジュエリーが出品されるんだが、一緒に見に行かないか?」
彼は彼女の注意を逸らそうとしていた。実際、そのオークションには必ず参加する予定で、すでに二枚の航空券を購入していた。手元の仕事を片付けてから彼女に告げるつもりだった。
鈴木之恵は黙って座っていた。手のひらは冷たいのに汗ばんでいた。
藤田深志は先ほど話した時、実は全てを話していなかった。警察から聞いた情報はそれだけではなく、秋山奈緒は刑務所で妊娠二ヶ月であることが判明し、一年間の執行猶予が与えられ、今日の午後にも自宅での服役が可能になるということだった。
他人を死に追いやろうとした悪魔が再び人間社会に戻ってくる。