第366話 私のお金は彼女が管理する

借金の話をこれほど堂々と言う人は少ない。藤田深志は車から降りて、車の前にもたれかかり、開き直った様子の村上拓哉を見て少し笑いたくなった。

「お前のスーパーカーはどうした?ガレージの車を一台売ればいいじゃないか。どうせ今はガソリン代も払えないんだろう!」

村上拓哉は胸が痛んだ。自分でも、まさか金に困る日が来るとは思っていなかった。彼はお金に対する概念がなく、いくらが多いのかも分からず、とにかく手元に不自由はなかった。

象牙の塔で育った村上拓哉がガソリン代にも困る日が来るなんて、誰が想像できただろうか。彼のガレージにある車は全て彼の大切な宝物で、どれも売る気にはなれない。それは命を取られるようなものだ。

このクソ野郎は、自分が売れないことを知っているからわざとそう言うんだ。