第365章 一緒に寝る

翌朝、鈴木之恵は電話で目を覚ました。

目を開けると、硬いものの上に寝ていることに気づき、よく見ると腕の上だった。

鈴木之恵は驚いて慌てて起き上がり、眠気は完全に吹き飛んだ。藤田深志も彼女の動きで目を覚ました。昨夜、二人は遅くまで話し込んでいて、後で子供たちが眠くなったので、鈴木之恵は中に入って子供たちを寝かしつけているうちに、自分も眠ってしまった。

藤田深志は夜中まで蚊に刺されながら我慢していたが、耐えきれずに中に入ってきた。彼は端っこにしか寝られず、近づく勇気もなかった。夜中に鈴木之恵が自分から彼の腕の中に転がり込んできたので、彼はもちろん避けずに、そのまま抱きしめていた。

鈴木之恵は今、携帯を手に取り、呆然としていた。

藤田深志の腕はほとんど感覚がなくなっていた。彼は起き上がって腕をさすりながら、彼女が逆ギレするのを恐れて急いで説明した。

「君が自分から転がり込んできたんだ。僕は端で動きもしなかったよ。」

鈴木之恵は唇を舐めながら、必死に思い出そうとしたが思い出せなかった。ただ、この夜はとても安らかに眠れたことと、夢の中で結婚したばかりの頃に戻っていたことを覚えていた。あの頃は、秋山奈緒もいなければ、これほどの誤解もなく、すべてが美しかった。

鈴木之恵は彼らが寝ていた場所を見下ろすと、確かに、藤田深志はテントからほとんど押し出されそうになっていて、自分は最初二人の子供たちの隣で寝ていた位置にいた。理性的に分析すると、越境したのは自分だった。

電話の着信音が一通り鳴り終わっても、鈴木之恵は電話に出ず、その場で呆然としていた。

藤田深志は起き上がってワイシャツの襟を整えながら、親切に彼女に注意を促した。

「電話だよ。」

鈴木之恵はようやく我に返り、通話ボタンを押した。

「之恵、今日は週末だけど、子供たちを連れて私の家に来ない?」

八木修二は何度も鈴木之恵を誘っていたが、毎回彼女は用事があった。ちょうどこの週末は予定がなく、さらに自分もすぐに東京都に戻らなければならないので、この週末に必ず会っておきたかった。次に会えるのはいつになるかわからないのだから。

「今、山の上にいるの。帰って支度してから行くわ。」

「わかった、家で待ってるよ。」