藤田深志はようやく少し落ち着いてきて、少なくとも胃腸の具合は良くなってきた。彼女を驚かせることは分かっていたので、これを見せてしまったことを後悔していた。
それは薬であり、また彼のここ数年の惨めな状態でもあった。
彼は彼女を取り戻したかったが、これらの薬瓶で同情を買いたくはなかった。
彼が求めているのは純粋な愛情で、同情や憐れみなど、愛情以外のものは一切混ぜたくなかった。
藤田深志は薬の山から一つの瓶を取り出し、淡々とした表情で言った。
「これ一つだけ飲めばいい。他は全部要らないから、捨ててくれ。もう飲んでないんだ。」
鈴木之恵は指を握りしめ、落ち着こうと努めた。
「じゃあ、この数年ずっとこれらの薬を飲んでいたの?」
彼女は薬瓶を手に取り、製造日を確認した。全て今年製造のもので、少なくとも今年は、彼はまだこれらの薬を服用していたことになる。
思わず鼻が痛くなった。
藤田深志は苦笑いを浮かべた。
「もういいよ、それは見なくていい。水を一杯持ってきてくれないか。」
鈴木之恵が部屋を出るや否や、藤田深志はそれらの薬瓶をゴミ箱に投げ入れ、枕元の一本だけを残した。それは茅野さんが処方した最も重要な薬だった。
彼は茅野さんに電話をかけた。
「あなたが処方した薬で彼女を驚かせてしまった。変更できないか?もう少し少なくして、まるで薬漬けみたいじゃないように。」
茅野さんはそれを聞いて、この若造が医師の指示に従わず、さらに薬の処方を批判していることに腹を立てた。
「どうした?少し良くなっただけで調子に乗り始めたのか?この薬がなければ、とっくに精神病院に入れられていたぞ。今になって文句を言うとは、恩を仇で返すつもりか?」
藤田深志は眉間にしわを寄せた。理屈はそうなのだが、茅野さんの口から出るとなぜこんなに耳障りなのだろう?
「あなたの薬もそれほど効果がないよ。今日また発作が起きた。」
茅野さんは今度は真剣に心配し始めた。
「前回は良くなったはずだが、どうしてまた...何かショックを受けたのか?」
藤田深志はドアの方を見やり、声を潜めて言った。
「彼女が去ってしまうのが怖いんだ。」
茅野さんは思わず嘲笑した。
「なるほど、お前は完全に彼女にやられているな。時間があったら私のところに来なさい。検査をしてあげよう。」