第396章 真相を調査する

藤田深志は機会を見計らって手柄を自慢し、

「たった一言の褒め言葉だけ?」

「他に何を期待してるの?あなたがここにいないんだから、他の褒美なんてあげられないでしょう」

藤田深志は瞬間移動で彼女の側に行きたくなった。この女性が自分にどんな褒美をくれるのか見てみたかった。彼女は気軽に言っているが、実際はせいぜいキスぐらいしかくれないだろう。

「之恵、あと二日だ」

彼は指を折って日を数えていた。この日は食事と睡眠以外、手元の仕事を急いで片付けることに専念し、すぐにでも仕事を終わらせて彼女の元へ飛んで行きたかった。

鈴木之恵は画面越しに冗談めかして言った、

「藤田社長は焦る必要ないわ。フライトがなくなるわけじゃないし、会社の仕事をきちんと片付けてから来ればいいの。社長として、会社を放り出して自分だけ行くなんてできないでしょう?仕事が一番大事でしょう?」

彼女の最後の言葉には、藤田深志に対する皮肉が込められていた。

以前、錦園にいた時、彼女は国慶節の連休を利用して海辺に遊びに行きたがっていた。しかし藤田深志は秘書に彼女一人分の航空券とホテルを予約させ、こう言い放った。

「一人で行けばいい。俺は仕事が終わっていない。社長として会社を放り出して行くわけにはいかない。仕事が一番大事だ」

彼はそう言ったのだ。今、鈴木之恵はその言葉をそのまま返してきた。

藤田深志は困って頭を掻き、心の中で思った。自分はいったいどれだけの落とし穴を掘ってきたのだろう?彼女は昔の借りを返し続けている。

「之恵、お前が一番大事だ」

「いいえいいえ、仕事が一番大事よ。藤田社長は今や息子と娘がいる身。子供を育て、お金を貯めて、子供たちを人生のスタートラインで勝たせないと」

「今でもスタートラインで勝っているとは言えないのか?」

藤田深志は初めて自分の金銭力に疑問を感じた。藤田家の資産なら二人の子供が一生心配なく暮らせるはずだが?

しかし鈴木之恵は次の瞬間こう答えた、

「まだ足りないわ」

親が子供に与えたい財産に十分ということはない、もちろん多ければ多いほど良い。彼女は世界中の富を全て自分の子供たちの口座に入れたいくらいだった。

藤田深志はため息をつき、

「わかった、一生懸命稼いで、子供たちと妻を養う!」