藤田深志は機会を見計らって手柄を自慢し、
「たった一言の褒め言葉だけ?」
「他に何を期待してるの?あなたがここにいないんだから、他の褒美なんてあげられないでしょう」
藤田深志は瞬間移動で彼女の側に行きたくなった。この女性が自分にどんな褒美をくれるのか見てみたかった。彼女は気軽に言っているが、実際はせいぜいキスぐらいしかくれないだろう。
「之恵、あと二日だ」
彼は指を折って日を数えていた。この日は食事と睡眠以外、手元の仕事を急いで片付けることに専念し、すぐにでも仕事を終わらせて彼女の元へ飛んで行きたかった。
鈴木之恵は画面越しに冗談めかして言った、
「藤田社長は焦る必要ないわ。フライトがなくなるわけじゃないし、会社の仕事をきちんと片付けてから来ればいいの。社長として、会社を放り出して自分だけ行くなんてできないでしょう?仕事が一番大事でしょう?」