第401章 泣き喚き自殺をちらつかせる

こちらで話をしている間に、鈴木由典が秘書が持ってきた朝食を手に外から入ってきた。

鈴木之恵は外でドアが開く音を聞き、声を押し殺して言った。

「もう話すのは止めるよ、兄さんが戻ってきたから。」

そう言うと一瞬で通話を切った。

藤田深志は言い足りないことがたくさんあったのに、もう機会がなくなってしまった。彼はその場で布団に倒れ込み、部屋中に漂う彼女の香りを嗅ぎながら、しばらく自分を慰めてから起き上がって身支度を始めた。

会社に着くと、藤田深志はすぐに電話で人を手配し、全てを準備した後、柏木正に鈴木之恵と秋山泰成の髪の毛のサンプルを病院にDNA鑑定に出すよう指示し、さらに秋山泰成の分を一つ引き出しにしまっておいた。フランスの方の物が手に入ったら照合するためだ。

彼は今、鈴木之恵の出自に隠された事情があるのではないかと疑っていた。秋山泰成というその老人の言葉は、一言も信用していなかった。