「藤田社長、そろそろ出発しましょうか?これ以上座っていたら、耐えられなくなりそうですよ」
鈴木之恵は彼をからかい、意図的に彼の引き締まった胸筋に手を近づけた。何に耐えられないのか、言うまでもなかった。
藤田深志の喉仏が上下し、まぶたが止まらずピクピクと動き、春の若竹のように滑らかなその手に視線を落とした。頭の中は昨日の浴室での光景でいっぱいだった。
間違いなく、彼は少し中毒になっていた。
「之恵……」
彼はその悪戯な手を握り、唇に運んでキスをし、そして自分の腹筋に押し当て、筋肉の線に沿って下へと導いた。
鈴木之恵は指を丸めた。彼の体温が彼女を熱く焦がし、心を乱した。
この状況で邪念を抱かないはずがなかった。
鈴木之恵の頭の中は、かつて見たオフィスプレイの漫画のシーンでいっぱいになった。