彼はベッドから飛び降りて救急箱を探し出し、体温計を彼女の脇の下に入れ、時間を計って取り出すと、39.1度だった。
この温度は低くない。
彼は急いで古田先生に電話をかけた。
「古田先生、39.1度です。喉が痛くて、声が出なくて、体がだるくて食欲もありません。今すぐ来ていただけませんか。」
電話では説明しきれないと思い、古田先生に来てもらう方が安心だと判断した。
「藤田社長、家に解熱剤はありますか?まずイブプロフェンを飲ませてください。すぐに行きます。」
「古田先生、錦園です。」
「分かりました。」
電話を切ると、藤田深志は急いで救急箱からイブプロフェンを探し出し、一錠を鈴木之恵の手のひらに置き、用意しておいたぬるま湯を渡して、彼女が飲み終わって横になるのを見守った。
彼はまた焦って部屋の中を行ったり来たりし始め、つぶやき続けた。
「この古田先生は牛車でも乗ってきているのか、もう20分も経つのにまだ着かないなんて。」
鈴木之恵は布団の中でうめいた。
「私は秋山泰成に腹を立てて、それで熱が出ただけよ。解熱剤を飲んで、それから熱さましの薬を飲めば大丈夫。古田先生に来てもらう必要なんてないわ。」
藤田深志は眉をひそめた。
「之恵、薬は適当に飲んじゃダメだよ。横になっていて。もう一度古田先生に電話してみる。」
古田先生が薬箱を持って上がってきたとき、電話は鳴りっぱなしだった。彼は藤田深志がまた熱を出したのかと思ったが、奥様の方だった。
「どうですか、解熱剤は飲みましたか?」
「飲みました。でもまだ熱があります。」
鈴木之恵は心の中でため息をついた。自分が熱を出しただけで藤田深志の頭まで熱くなってしまったのか。薬を飲んでまだ30分も経っていないのに、どんな薬がそんなに早く効くというの?
彼は焦りすぎている。
古田先生は鈴木之恵を診察し、自分の薬箱から二箱の薬を取り出した。
「奥様は喉の炎症があります。抗炎症薬を飲んで、この数日は食事を控えめにして、喉を使いすぎないように。十分な休息を取ってください。」
藤田深志はその二箱の薬を受け取り、説明書を注意深く読んだ。
「古田先生、この二つの薬だけで大丈夫ですか?病院に行く必要はありませんか?」