田中晃の綺麗な唇が少し上がり、
「駐車場に停めてあるよ。ここから近いけど、見に行く?」
「行こう」
藤田深志は彼の車に興味があったわけではなく、人目を避けてこいつを説教したかっただけだ。
二人が出て行くと、鈴木之恵は車なんて興味がなく、今はお腹が空いていたので、中に入って何か食べ物を探そうと思った。
「二人とも行ってきて。私は先に入るわ」
鈴木之恵が入るや否や、藤田深志は田中晃を角に引っ張り、彼の頭を軽く叩いた。
「お前、調子に乗ってきたな。義姉さんまで狙うつもりか?」
田中晃は不服そうに、もう彼が先に言い出したのなら、この大魔王様に遠慮する必要はないと思った。
「何を言ってるんだ。誰が義姉さんだよ。まだ結婚してないじゃないか。あんなに素晴らしい人が、なんであんたみたいなおっさんと」