第454章 この家には女性が1人もいない

藤田深志は鈴木之恵の手を握り締め、指を開いて絡ませて十指を固く組み合わせた。

「申し訳ないが、私は今家庭のある男だから、他の女性と連絡を取るのは控えさせてもらう。もう余計なメッセージを送らないでくれ。私の彼女が嫉妬するから」

清水優紀は怒って足を踏み鳴らした。

「深志さん、どうしてそんな風に女の子に言えるんですか?」

「すまないが、私の目には彼女以外の人に性別なんてないんだ」

清水優紀は面目を失ったと感じた。ずっと思い続けて追いかけていた人が、結局自分を異性として見ていなかったなんて。以前送った色っぽい写真のことを思い出すと、今では屈辱でしかなかった。

「藤田深志!この女は誰とでもイチャつくのに、どうしてそんなに守ってあげられるの?彼女にはその価値なんてないわ!」

藤田深志はその言葉を聞くと、表情に殺気が漂い始めた。

「清水さん、今の言葉は撤回することをお勧めする。女性の名誉を傷つけるような悪意のある発言をする貴女に、女性としての資格があるのか?」

清水優紀は恐れて口を閉ざした。この閻魔王が怒ったら本当に彼女を干すことができる。もう彼の地雷を踏むようなことはできない。

清水優紀は渋々と立ち去り、藤田深志と鈴木之恵の二人が残された。

鈴木之恵は彼に尋ねた。

「彼女は何を送ってきたの?」

藤田深志は鼻先を撫でながら言った。

「大したことじゃない、ただ彼女の仕事の写真だよ。見ずに消したけど」

鈴木之恵は考えるまでもなく普通の写真ではないと分かった。普通の写真なら清水優紀がわざわざ自分の前で藤田深志に聞くはずがない。自分に誤解させようとしているのは明らかだった。

「見てないのに、どうして彼女が送ってきたって分かったの?」

藤田深志は追い詰められて、小声で正直に話した。

「彼女は最近下着の広告の仕事を受けて...その仕事の写真なんだ」

藤田深志は即座にフォローを入れた。

「受け取ったらすぐに消したよ。さっき聞いたでしょう?彼女のWeChatと電話も全部ブロックしたんだ。誘ってないよ、本当に僕から誘ったわけじゃない!」

鈴木之恵は固い表情を崩して、しばらくしてから笑みを浮かべた。

「あなたのその顔は本当にトラブルの元ね」

藤田深志は謙遜せず、自分の顔が並ではないことを知っていた。