「渡辺医師、あなたが私の母を参りに行ったということは、あなたの良心がまだ完全に失われていないということですね。この数年間、心が落ち着かなかったのでしょう?今から、この件の全てを私に話してください。母にも話してください。そうでないと、母は安らかに眠れないでしょう」
渡辺文恵は胸がドキッとし、顔が青ざめた。最近悪夢に悩まされていたので、京都府に戻って参拝しようと思い、向こうで許してもらえることを願い、自分の心の安らぎを求めていた。
目の前の見覚えのある若い女性を見て、言葉が出なかった。彼女は当時自分が取り上げた双子の一人だと察した。
「渡辺医師、何も言わなくても構いません。でも、この事実はいずれ私が解明します。その時には、私たちの間で清算しなければなりませんね」
渡辺文恵は怯えて一歩後ずさり、よろめきそうになった。