陸田詩子がそう言った時、藤田深志がドアを開けて入ってきた。
「陸田の所属タレントはスキャンダルだらけで、倒産も近いでしょうね」
陸田詩子は声を聞いて振り向いた。彼女の口は毒があり、何気ない悪口でも人に聞かれてしまう。
「藤田社長、私たちの陸田は兄の経営の下で順調ですよ。清水優紀なんてクズは兄が契約したわけじゃありません。むしろ契約解除したがっているんです。
言いたくはないんですが、藤田グループは本当にデザイナーを変えるべきですよ。スタイルが昔ほど良くありません。このままだと、ジュエリー業界での国内トップの座は、すぐに私の鈴木お姉さんのものになってしまいますよ。その時になって泣いても遅いですよ」
藤田深志は眉間にしわを寄せた。この女は彼の会社を呪っているのか。
「私と之恵は一心同体だ。将来的に会社を合併することだってありえる」