「陶山叔母さん、この宝石は確かに素晴らしいものですが、人の所有物を奪うつもりはありません。お返しします。今度職人さんにピアスを一対作ってもらって、残りの材料でペンダントトップも作れそうですね」
鈴木之恵は穏やかで礼儀正しい口調で、陶山蓮華の贈り物を断りながら、彼女の後の頼み事も全て封じてしまった。
笑顔の虎なんて、誰にでもできるものよ。
陶山蓮華は一瞬固まり、
「之恵、前はお母さんにこんなに遠慮しなかったのに。家族なんだから、遠慮することないでしょう。幸せは分かち合うもの、お母さんにいいものがあれば、あなたにも分けてあげたいの」
陶山蓮華は感情に訴えかけた。この元義理の娘は藤田家に嫁いでいた数年間、最も優しい心の持ち主だった。彼女はこの関係を修復できると確信していた。